2022年9月より、未来の図書館研究所副所長に就任いたしました。よろしくお願いいたします。
公共図書館は、ここ2年間、新型コロナのために多くの図書館が休館やサービスの制限を余儀なくされ、2020年度の全国公共図書館の年間個人貸出冊数は、前年度に比べて16.5%の大幅な減少となりました。
しかし、少し落ち着き日常が戻りつつある現時点で振り返ってみると、この2年間は後退ばかりでもありませんでした。コロナ前は百に満たない自治体の図書館しか導入していなかった電子書籍貸出サービスは、現在、三百を超える自治体、千館以上の図書館で実施されるようになりました(一般社団法人電子出版制作・流通協議会調べ)。対面接触を避けるためのリモートによるイベント、オンラインお話し会なども多くの図書館で行われました。また、著作権法が改正され、図書館から文献の複写をメールで送信することが可能となります。これもコロナ禍という環境が後押ししたといわれています。さらに、利用者サービスではありませんが、ウェブ会議が日常的になり、距離や移動時間の制約なしに打ち合わせを持ち、意思疎通を図ることができるようになりました。
コロナ禍の中で、図書館は、利用者へのサービスを守るためにこれらの新しい運営やサービスのツールを手に入れたということでもあります。コロナなしでは、これほど急速な変化は起こりえなかったでしょう。
今度は、これらのツールを使って図書館及び図書館サービスを発展させる番です。様々な課題は残しつつも、これらのツールは、「守り」だけではなく人々の役に立ちより地域に貢献できる図書館を目指すうえでも有効です。
本研究所は、その名前が示す通り、急激に変化する社会状況の中で、今後、図書館が人々の成功と幸せのために何ができるのか、そのためには図書館はどう変わっていかなければならないかを考えてきました。その一員として、目指す次の図書館の姿を、皆様とともに考えていきたいと思います。